ー運送会社の業務委託とは?メリット・デメリット、現状や開業準備もー
近年、運送業界で注目されている働き方に業務委託があります。
運送会社の業務委託ドライバーになると、雇用契約に比べて人間関係の悩みも少なく自由に働けるため、人気を集めています。
しかし「業務委託のドライバーは本当に稼げるの?」と、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、業務委託のメリットとデメリット、現状や開業準備について解説していきます。
運送会社の業務委託とは
運送会社の業務委託とは、正社員やアルバイト・パートと雇用形態が異なり個人事業主として業務委託契約を結び、配送の仕事を受託することです。
ただし、業務委託ドライバーは、黒いナンバープレートの軽トラックやバイクを使用する軽貨物運送事業に限られています。
緑ナンバープレートの事業用自動車を使用する一般貨物自動車運送事業での業務委託は違法となるため、注意が必要です。
運送会社の業務委託メリット
それでは、気になる運送会社の業務委託のメリットについて解説していきます。
高収入が可能
業務委託ドライバーは、雇用されている正社員のように固定給とは違って歩合となるため、配送した分だけ報酬を得られます。そのため、働き方や仕事の内容によって高収入も可能です。
基本的に働き方は自由になりますが、報酬は時間が経つことで時給が発生するアルバイトやパートとは異なるため、自分の頑張り次第となります。
誰でも始めやすい
業務委託ドライバーは、運送会社の正社員とは違って年齢制限がなく、運送業の経験がなくても個人事業主として開業できるため誰でも始めやすいです。
また、普通自動車免許を取得していれば、学歴・性別・国籍は関係ありません。
業務委託では小口配送がメインのため、近年は女性ドライバーも増えています。
初期費用が少ない
業務委託ドライバーは、普通自動車免許と軽貨物車両1台あれば始められるため、個人事業主として開業する初期費用が少なく独立しやすいといえます。
さらに、新たに特殊な免許を取得する必要がないのもメリットです。
自由度が高い
業務委託ドライバーは個人事業主となるため、自分のペースで働くことが可能で自由度が高いといえます。
また、上司や部下という関係性がないため、人間関係の悩みやしがらみが少ないこともメリットとして挙げられます。
運送会社の業務委託デメリット
運送会社の業務委託には、メリットがあればデメリットもあります。次に、デメリットを解説していきます。
経費が自己負担
業務委託ドライバーのデメリットは、経費がすべて自己負担になることです。
経費には、ガソリン代・車両の維持費用・自賠責保険・任意保険などがあります。さらに会社員と違って、年金や健康保険などの保険関係も自己負担となります。
また、万が一事故が起きた場合も自ら処理をしなければなりません。
一人で気楽な反面、大変な問題も一人で行わなければならないことを覚えておきましょう。
仕事量が変わる
業務委託ドライバーの仕事量は、委託元の運送会社から仕事を請け負うため、委託元が抱えている仕事量により変動します。
そのため、委託元の運送会社次第で、安定的に仕事できるのか決まります。
支払いが遅くなる
業務委託ドライバーは、給与の支払い日が決められた会社員と違って、委託先によって支払日が異なります。
報酬の受け取りが翌月や翌々月といった先になり、支払いが遅くなる場合もあります。
また、委託元が期日までに報酬を用意できず支払いが遅れてしまう場合もあるでしょう。
報酬を見込んで事前に多額の出費や、家賃・生活費などの支払い期日が迫っていると、支払いが遅れることはリスクが大きいでしょう。
有給休暇がない
業務委託ドライバーは、会社員と違って有給休暇はなく、休みが収入の減少に直接つながります。
また、無断で休むと欠車扱いとなり、契約の解除や損害賠償請求される恐れもあります。
業務委託ドライバーは個人事業主として、会社員以上の自覚と責任感が必要です。
運送会社の業務委託・現状
運送会社の業務委託は、運送会社からしても車両の維持費や人件費がかからないメリットがあるため、増加傾向にあります。
また、物流業界は配達員の高齢化や通販市場の急成長や拡大のため、仕事量が増える一方でドライバー不足が続いています。
このようなことから、運送会社の業務委託は需要が高まり、この先も仕事がなくなる可能性は極めて低いといえるでしょう。
運送会社の業務委託・開業準備
運送会社の業務委託として開業するためには準備が必要です。
それでは、準備の流れをみていきましょう。
1, 軽貨物車両と駐車場
業務委託のドライバーになるには、運送に使用する軽トラックまたは、軽バンなどを用意する必要があります。車両準備には、新車・中古車・リースでも構いません。
車両の準備と同時進行で、届出に必要な駐車場の準備もしましょう。
駐車場は、営業所または休憩・睡眠施設として使う自宅などから半径2キロメートル以内であることが条件です。
2, 軽貸物運送業の開業届け
次に、軽貸物運送業の開業届けと一緒に必要な書類を提出します。
必要書類とは、貨物軽自動車運送事業経営届出書・事業用自動車等連絡書・運賃料金設定届出書・運賃料金表・車検証のコピーがあり、運輸支局へ提出します。
車検証のコピー以外は、運輸支局の窓口やWebサイトからダウンロード可能です。
ただし、業務委託を結ぶ運送会社によっては、代行してくれるケースもあるでしょう。
3, 営業用の黒ナンバー取得
必要書類を提出後、運輸支局から事業用自動車等連絡書を受け取ります。
そのあと、事業用自動車等連絡書と使用中の黄色ナンバープレート・車検証コピーを、軽自動車検査協会へ提出します。
手続きが終わると、軽自動車検査協会から黒地のナンバープレートが交付されるため、営業用の軽貨物車両に取り付けましょう。
4, 保険に加入
開業には、自賠責保険だけではなく、任意保険への加入をする必要があります。
万が一の事故による損害賠償に備えるため、対人賠償保険・対物賠償保険・車両保険の加入が必要です。
そのほか、預かった荷物を損傷した場合に、所有者に対する損害賠償を補償できる貨物保険への加入も推奨されています。
運送会社によっては、貨物保険への加入が業務委託の条件となる場合も大いにあるでしょう。
仕事で車を使用することは、乗用車よりも自動車保険の重要性が高いです。
5, 個人事業主の開業届け
最後に、開業日から1ヶ月以内に所轄の税務署へ個人事業主の開業届けとして青色申告の手続きを行います。
青色申告は、経費を計上し節税効果につながるため大切な手続きです。車の燃料代も乗用車と比べて大きな支出となるため、届出を出しましょう。
まとめ
今回は、運送会社の業務委託について詳しく解説しました。
業務委託ドライバーにはメリットとデメリットがあります。
自分に合った働き方をするためには、メリットとデメリットを理解したうえで決める必要があるでしょう。
また、業務委託をする運送会社によっても条件や仕事の量が違うため、しっかりと見極めることが大切です。
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